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地域の挑戦が前に進む。~地域循環共生圏を見据えた地域づくり~

地域の挑戦が前に進む。~地域循環共生圏を見据えた地域づくり~

※グッドライフアワード受賞後、環境省視察時に奈良県天理市福住地区にある茶園の現地にて撮影。

きんき環境館では、地域資源を最大限に活かし、環境・経済・社会が持続可能な形で巡る「地域循環共生圏」の構築を推進しています。
奈良県天理市福住地区では茶園の耕作放棄地増加や人口減少という課題に直面していました。このエリアを中心に活動する伊川健一氏(健一自然農園 代表/一般社団法人みんなとふるさと 代表理事)は、衰退しかけた茶づくりを再生し、教育や交流の活動へも広げてきました。しかし、耕作放棄地を守り、この農法を未来へつなぐにはより多くの土地所有者の理解や協力、そして地域全体で価値を共有する仕組みが欠かせません。また、地域を盛り上げるために地域全体のプラットフォーム化や多角的な事業化を行うには、一事業者の力だけでは限界を感じていました。そのような中、伊川氏は活動への熱い想いを具現化する一つの方法として「地域循環共生圏」に関心を持ちました。

■ 施策1:モヤモヤから始まる相談、地域循環共生圏との出会い(2024年2月)






※グッドライフアワード受賞後、環境省視察時に活動を説明する伊川氏

きんき環境館には、活動の方向性を模索している段階で相談に来られる方も多くいらっしゃいます。伊川氏は、地域で自分たちの活動に共感し、一緒に動いてくれる人を増やしたいという思いを抱いていました。しかし、そのために次に何をすべきか、具体的な行動まではまだ見えていませんでした。「地域循環共生圏について深く知る機会が無かったため詳しく教えてほしい。また、きんき環境館がどんなことをしているのかについても教えてほしい。」といった情報交換のために当初来館されましたが、お話を伺う中で、伊川氏の行おうとしている取組こそがまさに「地域循環共生圏」の考え方そのものであることが見えてきました。

【アプローチ】きんき環境館からは地域循環共生圏の概念を改めて整理してお伝えするとともに、活動の公的価値を高めるためのステップとして「自然共生サイト」や「環境省グッドライフアワード」などの具体的な施策も紹介しました。

【成果】地域循環共生圏などの環境省の考え方を積極的に活動に取り入れた結果、2024年12月に「第12回グッドライフアワード 環境大臣賞 優秀賞」を受賞。地域の取り組みが全国的な評価を得ました。

 ■ 施策2:活動を更に広めるためのESDの導入(2024年12月)


※事例紹介の様子

※ネットワーキングの様子

天理市の「オーガニックビレッジ構想」とその事業を牽引する統括マネージャーとして子供を中心に据えたプログラムを検討中だった伊川氏から再度相談がありました。環境だけではなく、教育の要素が入った取り組みのため、きんき環境館と併設されている近畿地方ESD活動支援センターが環境養育の視点からアドバイスを行いました。

【アプローチ①】ESD(持続可能な開発のための教育)についての説明を行いました。また、活動の中心となる学校、教育関係者をはじめとしたステークスホルダーのネットワークの必要性や、ESD活動を継続的に行うための地域との連携について、アドバイスなどを行いました。

【成果①】環境教育に取り組む熱心な教師の存在などもあり、伊川氏の用意したプログラムを実施するための環境が学校側に整っていました。地域の学校と連携を行いESDの取組が順調に進み始めました。

【アプローチ②】近畿地方ESD活動支援センター主催のイベント「近畿地方ESD 推進ネットワーク地域フォーラム2024」では、この取組内容を紹介していただきました。

【成果②】当日は学校教員やNPO、企業、自治体など、普段の活動域を超えた66名の参加者が集まりました。伊川氏による現場の実践報告は、参加者にとって大きな刺激となり、福住地区でのESD活動を関係者に広く周知する貴重な機会となりました。また、フォーラム内のネットワーキングを通じて他の実践者と交流したことで、伊川氏自身も今後の活動を進めるための新たなアイデアを得ることができました。さらに、イベントでの連携を通じて、地域の多様なセクターを巻き込むプラットフォームづくりへと発展する関係者間のネットワークも構築できました。

■ 施策3:中間支援機能の可視化と、対話の場を通じたコーディネート(2025年12月)

※インタビューの様子
※対話の場づくりの様子

伊川氏がきんき環境館に始めて来館された際には、一事業者の力だけでは地域を盛り上げるための地域全体のプラットフォーム化や多角的な事業化に限界を感じておられました。しかしきんき環境館では、これまでの活動を通して、伊川氏が「プレイヤー」であると同時に、行政や住民をつなぐ「地域の中間支援者」として活躍し始めている点に注目しました。

【アプローチ①】地域全体のプラットフォーム化や多角的な事業化のために、地域の様々な主体を巻き込んだ地域のコーディネーターは必要です。既に伊川氏が実践されていた中間支援主体としての役割を可視化するため、インタビュー記事を作成し、きんき環境館のWebサイトで広く公開しました。
インタビュー記事:
小さな成功体験が、住民主体の鍵に!『一般社団法人みんなとふるさと』伊川さんの「やってみたい」に寄り添う地域づくり

【成果②】インタビュー記事を通じて、伊川氏が関わる天理市における省庁横断の取組を、地域内外の多くの方に知っていただくきっかけとなりました。また、インタビューは、伊川氏自身がこれまでの取組を振り返る機会にもなりました。

【アプローチ②】農林水産省の「みどりの食料システム戦略」に基づく「オーガニックビレッジ」や「農村RMO」の支援施策と環境省が推進する「地域循環共生圏」はどちらも「コミュニティを作ることやそのための対話」が重視されていることから、きんき環境館が主催となり「対話の場づくり」というイベントを開催しました。

【成果②】この場では、伊川氏にメンバー選定や進行、ファシリテーションを依頼し、対話の場づくりを共創しました。自治体、大学、企業、市民団体など、21名の多様なセクターの方々が一堂に会し、地域全体のプラットフォーム化に向けた大きな一歩となりました。当日は、地域づくりに関する課題の整理や、解決に向けた方向性の検討を行うことができました。

■ 提供価値:段階に応じた統合的なサポート

  • 環境省施策とESD支援へのワンストップ窓口
    地域循環共生圏や自然共生サイトなど環境省の各施策への相談窓口となり、併設の「ESDセンター」とあわせて、教育分野の相談まで一体的にサポートしました。
  • 伴走による言語化と方向性の整理
    現場のプレイヤーに寄り添い、政策情報の提供やインタビューを通じて活動の意義を言語化。今後の方向性を客観的に整理する支援を行いました。
  • 対話の場を通じたコーディネート
    中立的な立場からイベントや対話の場を設計し、地域で活躍する“中間支援者”が動きやすいステージを整備。関係者の共創を促しました。

きんき環境館では、地域や施策の枠を越えた事例紹介や情報提供を行い、活動の方向性を整理するための対話の場づくりも支援しています。地域づくりに向けて、課題整理から具体的な解決策の検討まで、段階に応じたサポートを提供しています。

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