協働事例
※イベント「地域での「気候市民会議」開催に向けたセミナー&勉強会「地球温暖化や地球環境問題をジブンゴトにする」の様子
気候変動対策という大きな社会変革を進めるうえで、市民一人ひとりが当事者として理解し、納得し、動き出すための仕組みが求められています。その鍵のひとつが、社会の縮図となる人々がバランスの取れた情報提供を受けながら数週間〜数か月にわたり熟議する「気候市民会議」です。
当時近畿での開催事例はなく、気候市民会議の体験者を増やし、各地で開催数を増やして浸透させることが気候変動に対して有効なアプローチの1つと考えていました。そこで、きんき環境館は、脱炭素社会への移行に向けた受容度の向上を目的に、近畿圏での実施に向けて動き始めました。
※気候市民会議とは
社会全体の縮図を構成するように無作為抽出で選ばれた参加者が、専門家の中立かつ多面的なインプットを受けながら、気候変動対策について熟議し市民提言をまとめるプロセスです。2019年以降は欧州で広がり、日本でも2020年に札幌で初めて試行され、以降各地に広がりつつあります。
![]() グループワークの様子 |
![]() 話題提供の様子 |
気候市民会議の実践を研究されている八木絵香氏(大阪大学COデザインセンター 教授)と協働し、「気候市民会議の多様な開催を考える」と題したワークショップを3回開催しました。
【アプローチ】
当時、当館が調べた限りでは、近畿地方での気候市民会議の開催事例はありませんでした。本格的な開催には、自治体の関与や無作為抽出による市民選定など、一定のハードルがあります。そこで、まずは気候市民会議への関心を高め、開催のハードルを下げるため、「気候市民会議には定型があるが、実施形態は多様でよい」という視点を提示しました。
【成果】
自治体職員、NPO、学生、企業など、多様な立場の参加者が集まり、3回の実施で累計116名(登壇者等を含む)が参加しました。本ワークショップを契機に、「実際の気候市民会議に近い形でイベントを開催してみたい」という具体的な意欲が生まれました。
![]() オンラインを繋げた質疑応答の様子 |
![]() 模造紙を使ったアイデア共有の様子 |
これまでの3回にわたるイベント参加者の中から、茨木市で市民有志を中心とした実行委員会が形成され、「未来のまちづくりワークショップ:大阪いばらき気候市民会議2024」が試験的に開催されることとなりました。
【アプローチ】
茨木市環境政策課の担当者の方から、茨木市における地球温暖化対策の概要説明を行いました。また、京都女子大学現代社会学部の教授からは、気候変動問題や再生可能エネルギーを考える上で多角的な視点となる話題提供を行いました。
【成果】
37名の参加があり、気候市民会議の地域開催として近畿初(当館調べ)の事例となりました。参加者の活発な意見交換から生まれたアイデアをもとに、実行委員会が市民アクションプランを取りまとめています。茨木市では「いばらき気候市民会議企画チーム」が発足し、パブリックコメントへの意見提出や市長への提言書提出など、市民が主体的に政策に関わる仕組みづくりが進んでいます。また、本イベントへの参加者から「自分の住む地域でも実施したい」という相談が、きんき環境館へ寄せられました。
グループワークでのファシリテーションの様子 |
![]() 趣旨説明の様子 |
これまでのイベント参加者や関係者をはじめ、気候市民会議に関心のある人や、自分の地域での実施を検討している人たちと連携し、セミナー&勉強会を開催しました。「地球温暖化をジブンゴトにする」をテーマに、開催手順の習得だけでなく、現場で直面するリアルな課題に向き合う対話の場を設けました。
【アプローチ】
気候市民会議の開催に向けた具体的な手順や、準備段階で生じる様々な「モヤモヤ」を解消するため、対話型の学びの場を提供しました。関心の高い参加者を中心に、実行委員会のような形で企画段階から協働することで、実際のイベント開催に必要となるノウハウを共有しました。
【成果】
自治体、企業、市民団体、学生など合計41名が参加し、各地域での気候市民会議の開催に向けた具体的なアクションや情報が活発に意見交換され、関心を持つ関係者のネットワークが構築されました。また、本イベント参加者を中心としたメンバーにより、関西での気候市民会議開催を検討する研究会が2025年12月11日に大阪大学COデザインセンター主催で開催されました。研究会には大学、自治体、市民団体など計17名が参加し、近畿圏での気候市民会議開催に向けたノウハウ共有や情報交換、ワークショップが行われました。
これからも、きんき環境館は、政策・学術・行政・企業・市民をつなぐ中間支援機能を強化し、地域での実践を支える対話の場づくりと知の共有を通じて、近畿圏における持続可能な地域づくりの推進に取り組んでいきます。