お知らせ
――前編はこちら「地域循環共生圏を育む、小さな実践の力 楽しい」から始まる、地域と森のつながり(前編)」からお読みください


たかとき夏祭りや「たかときの森」の活動を支えているのが、エネシフ湖北です。
エネシフ湖北では、地域の中にあるさまざまな想いや課題を受け止め、
それぞれの人が持つ強みや地域資源を組み合わせながら、新たな活動へとつなげています。
その活動の中心となっているのが、清水さん、久木さん、そして桐畑さんの3人です。
3人は、それぞれ異なる経験と強みを持っています。
清水さんは、地域にある人とのつながりや、これまで受け継がれてきた文化や暮らしを大切にしながら、
それをこれからも続けていくための事業や活動を考えています。
久木さんは、地域にある自然や資源に目を向け、自身の専門性を生かしながら、それらを地域の価値として活用することに取り組んでいます。
そして、桐畑さんは、行政などさまざまな主体とのつながりを生かし、地域の取組を前に進めるための調整役を担っています。
それぞれの強みは異なります。
だからこそ、一人では難しいことも、3人が組み合わさることで実現できる。
エネシフ湖北の活動には、そんな特徴があります。
地域にある「当たり前」を、これからも続けていく 

清水さんが大切にしているのは、地域にこれまであったつながりや文化を、当たり前のものとして次の世代にも残していくことです。
そのためには、人とのつながりを広げ、新しい事業や活動を生み出していく必要があります。
そして、その土台にあるのが環境です。
地域の自然や資源、人のつながり、仕事や暮らし。
それらを別々のものとして考えるのではなく、地域の未来から逆算しながら、一つひとつの土台を整えていく。
清水さんが活動する西浅井地域でも、そうした視点からさまざまな取組が生まれています。
一方、久木さんが着目するのは、地域にすでに存在している資源です。
豊かな自然環境をはじめ、木質バイオマスなど、自分たちの地域だからこそ活用できるものを見つけ、それを新たな価値につなげていく。
異なる視点を持ちながらも、二人が見ている先には共通するものがあります。
それは、地域にあるものを生かしながら、これからも人が暮らし続けられる地域をつくっていくことです。
一つの活動が、次の活動の「資源」になる


エネシフ湖北の取組を見ていると、興味深い循環が見えてきます。
例えば、たかときの森。
もともとは台風によって被害を受けた森でした。
そこを地域の人たちが整備し、植樹を行うことで、新しい森が生まれました。
そして、その森が今度は、イベントの舞台になります。
森を訪れる人が増え、地域の人と外から訪れる人との接点が生まれる。
そこから新しい人のつながりが生まれ、さらに別の活動へとつながっていく。
つまり、一つの活動によって生まれたものが、次の活動のための新しい資源になっているのです。
森は単なる「整備する場所」ではなくなりました。
人が集まる場所になり、学ぶ場所になり、地域の物語を伝える場所になりました。
そして、そこで生まれた人のつながりもまた、地域にとって大切な資源になっています。
「支援する人」だけではない、中間支援 

エネシフ湖北は、中間支援の役割を担う団体です。
中間支援というと、活動する団体に助言したり、必要な人や制度を紹介したりすることをイメージするかもしれません。
もちろん、それも重要な役割です。
しかし、エネシフ湖北の活動から見えてくるのは、もう少し動的な中間支援の姿です。
地域の中にある「こんなことをやってみたい」という想いを受け止める。
その想いに必要な人をつなぐ。
専門性を持つ人がいれば、その力を借りる。
行政との調整が必要なら、そこをつなぐ。
そして、実際に活動が始まったら、その活動から生まれた新しい資源を、また次の取組へとつないでいく。
支援して終わるのではなく、活動そのものが次の活動を生み出す環境をつくっていく。
それが、エネシフ湖北が実践している中間支援の一つの形です。
地域を越えて生まれる、新たなつながり
こうしたつながりは、湖北地域の中だけにとどまりません。
地域循環共生圏づくりに取り組む中で、京都や奈良など、異なる地域で活動する団体との連携も生まれています。
それぞれの地域には、それぞれの自然、文化、産業、そして人があります。
同じ方法をそのまま持ち込むのではなく、それぞれの地域で実践している人たちが互いの経験や知恵を持ち寄ることで、
新しい協働の可能性が生まれています。
地域ごとの取組が、それぞれ独立して存在するのではなく、地域を越えてつながっていく。
地域循環共生圏のさらなる広がりが生まれています。
小さな挑戦が生まれ続ける地域へ 



エネシフ湖北がこれから目指しているのは、地域の中で小さな活動が生まれ続ける環境です。
地域で何かを始めようとする人にとって、資金面の不安は大きな壁の一つです。
「やってみたい」という想いがあっても、活動を始めるための資金や、継続するための仕組みがなければ、一歩を踏み出すことは容易ではありません。
そこで現在、地域の活動を支える財団などとも情報交換を行いながら、小さな団体でも無理なく挑戦できる仕組みや、
地域を支える支援力のあり方を模索しています。
3人のキーパーソンが持つ強みを、そのまま別の地域へ移植することは簡単ではありません。
しかし、「人」ではなく、人が持っている機能に目を向ければ、そこには他の地域にも応用できる可能性があります。
地域の想いを受け止める。 必要な人をつなぐ。
専門性を組み合わせる。 行政や地域との調整を行う。
そして、活動によって生まれた資源を次の活動につなげる。
こうした機能が組み合わさることで、地域の中に新しい循環が生まれていきます。
地域循環共生圏は、「人」から広がっていく 


地域循環共生圏という言葉から、壮大な地域計画を思い浮かべるかもしれません。
しかし、たかときの森と夏祭りの風景を見ていると、その始まりはもっと身近なところにあるように感じます。
「この森をきれいにしたい」 「子どもたちに楽しんでもらいたい」
「この地域にあるものを、これからも残していきたい」 そんな一人ひとりの想い。
その想いが人とのつながりを生み、活動になり、地域の新しい資源になっていく。
そして、その資源がまた別の人や活動につながっていく。
一つの森から始まった小さな取組が、夏祭りとなり、人を呼び、新たなつながりを生み出していく。
エネシフ湖北が取り組んでいるのは、そうした小さな実践が次々と生まれ、
つながり、地域全体の力になっていく環境を育てることなのかもしれません。
夕暮れのたかとき夏祭りで見た、たくさんの子どもたちの姿。
その風景の向こうには、地域の人たちが少しずつ育ててきた森と、そこから広がった人のつながりがありました。
地域の未来は、大きな計画だけでつくられるものではありません。
身近な場所にある「やってみたい」という小さな想いと、それを支える人とのつながり。
その一つひとつが重なり合うことで、地域循環共生圏は少しずつ形になっていくのではないでしょうか。