お知らせ
――前編はこちら「都市の公園を、市民とともに育てる。(前編)」からお読みください
小さな変化は、土の中で確かに起きている
土中環境改善の取組は、すぐに目に見える成果が現れるものではありません。
一本の木が急に大きく育つわけでも、公園の景色が劇的に変わるわけでもありません。
それでも、DESIGN KYOTOでは、継続して参加者と共に手を入れてきた場所に確かな変化を感じています。
改善した場所では土がやわらかくなり、大きなミミズが姿を見せるようになりました。木々の様子にも少しずつ違いが現れ、過去に土中環境改善を行った場所と未着手の場所との土壌の肥沃度を比較する調査を実施したところ、改善の傾向が確認されています。
もちろん、その分析は農業分野で用いられる指標によるものです。都市公園の樹木にとって、どのような土壌環境が望ましいのかについては、まだ十分な知見が蓄積されているとは言えません。
だからこそ、この実践は土を改善するだけではなく、「都市の自然とどのように向き合うべきか」を考える試みでもあります。 
対話を重ねながら育てる、公園という公共空間
こうした活動を進める上で欠かせないのが、公園を管理する京都市都市緑化協会との連携です。
ワークショップを始める当初は、その目的や意義を理解してもらうまでに時間を要したといいます。
土中環境改善は、短期間での成果が見えにくく、また素人の住民が公園管理の一部に関わることへの心配もあったためです。
しかし、坂田昌子さんの土中環境改善の理論の説明や活動を積み重ねる中で少しずつ信頼関係が育まれ、
現在では樹木管理で発生した枝をワークショップの資材として提供するなど、取組を支える協力体制が築かれています。
そこには共に公園を大事にする想いが根底にありました。
また、この取組の背景には、中間支援組織である梅小路クリエイティブプラットフォームの存在があります。
地域の多様な主体をつなぎ、行政、市民、企業などが対話を重ねながら、公園や周辺地域の未来をともに考える。
その積み重ねが、一つひとつの実践を支える土台となっています。
「利用する公園」から「育てる公園」へ
公園は誰もが利用できる公共空間です。
その一方で、「管理するのは行政」「使うのは市民」という役割の境界が明確になりがちな場所でもあります。
DESIGN KYOTOが目指しているのは、その境界を少しだけやわらかくすることです。
土に触れ、木を見守り、自分たちの手で環境を育てる。
その経験を通して、公園は「誰かの場所」ではなく、「自分たちも関わる場所」へと少しずつ姿を変えていきます。
こうした小さな関わりの積み重ねは、都市における新たな地域とのつながりを生み出し、
公共空間や公共の概念の新しいあり方を考えるきっかけにもなります。
都市の中にも、地域循環共生圏は育っていく
地域循環共生圏は、豊かな自然が残る地域だけで実現するものではありません。
都市の中にも自然はあり、人が暮らし、多様な主体が活動しています。
その土地にある自然や資源を大切にしながら、人と人、人と自然とのつながりを育んでいくことは、
都市ならではの地域循環共生圏の実践と言えるでしょう。
梅小路公園で続けられている土中環境改善の取組は、一本の木の足元から始まりました。
その小さな実践は、地域の人々の関わりを生み、行政や専門家との協働へと広がり、公園という身近な公共空間に新たな価値を育んでいます。
都市の未来は、大きな開発だけで形づくられるものではありません。
一人ひとりが身近な自然に目を向け、小さな一歩を積み重ねること。
その実践が重なり合うことで、都市の中にも、人と自然がともに育つ地域循環共生圏が広がっていくのではないでしょうか。 



スマホを片手に歩く人、木陰で読書を楽しむ人、子どもと遊ぶ人、そして土に手を入れる人。
さまざまな人が思い思いに過ごす梅小路公園では、この日もまた、都市と自然の新しい関係が静かに育まれていました。