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地域循環共生圏を育む、小さな実践の力 都市の公園を、市民とともに育てる。(前編)

地域循環共生圏を育む、小さな実践の力   都市の公園を、市民とともに育てる。(前編)

地域循環共生圏を育む、小さな実践の力

スマートフォンを見つめる人たちの横で、土を見つめる人たち 

梅雨が明けた7月11日、京都市の梅小路公園には朝から多くの人が集まっていました。 
この日は人気スマホゲームのイベントも開催されており、公園内ではスマートフォンを片手に歩く人たちの姿があちこちで見られます。 

そのにぎわいから少し離れた木陰では、別の目的で集まった約10名の参加者が、木のふもとで土を掘り返していました。京都市内だけでなく、大阪府堺市や兵庫県西宮市などから初めて参加した人の姿もあります。 

枝を組み、落ち葉を詰め、土に水と空気の通り道をつくり、微生物が住める環境を整えていく。 
一見すると地味な作業ですが、この日行われていたのは、都市の自然環境を少しずつ育てていく「土中環境改善ワークショップ」です。 

主催するのは、様々な地場産業の源流である自然環境と人との関係性のデザインに取り組むDESIGN KYOTO。
一本の木の足元から始まった小さな実践は、都市の自然との向き合い方を静かに問いかけていました。 

緑があることと、自然が豊かなことは同じではない 

 梅小路公園は、およそ30年前に平安遷都1200年を機にJRの操車場跡地を活用して整備された都市公園です。 

広々とした芝生や木々が広がり、小川にはサギがゆっくりと歩く姿も見られます。園内には、自然共生サイトにも登録されている「いのちの森」があり、都市の中とは思えないほど豊かな自然を感じられる場所です。 

しかし、DESIGN KYOTOの北林さんは、公園の一本の木を指さしてこう話します。 
「この木を見てみてください。少し頼りなく見えませんか。」 
改めて木を眺めると、幹は細く、どこか力強さに欠ける印象があります。 
その理由は、足元の土にありました。 
公園では多くの人が行き交うため、地面は長い年月をかけて踏み固められています。土の中に空気が入りにくくなり、水を蓄える力も弱くなることで、土壌の微生物が十分に活動できない環境になってしまうのです。 
緑豊かに見える公園でも、木々は決して快適な環境で育っているとは限りません。 
都市の自然は、見た目だけでは分からない課題を抱えている――それが、このワークショップの出発点でした。 

 一本の木から始まった、小さな環境改善

DESIGN KYOTOでは、2023年から梅小路公園で土中環境改善の取組を始めました。2024年度からは地域循環共生圏づくり支援体制構築事業の採択を受けながら、月に一度のペースで活動を継続しています。 
最初に手を入れたのは、一本のクロガネモチの木の根元でした。 
そこから少しずつ範囲を広げ、現在では4〜5本の木の周辺まで改善が進んでいます。 
この日のワークショップでも、参加者は土を丁寧に掘り起こし、枝を組み合わせて土の中に空気や水が通る道をつくっていきます。さらに、その上に落ち葉などを詰めていくことで、森の土壌に近い環境を少しずつ再現していきます。 
使用する枝は、梅小路公園の管理を担う京都市都市緑化協会が協力し、公園内の樹木管理で発生したものを保管し、提供しているものです。地域の資源を活かしながら、市民と共に公園の環境を育てていく取組として、継続的な連携が進められています。 

また、ワークショップでは、「自分サイズの土中環境改善」を提唱し、全国各地で活動する坂田昌子さんを講師に迎えたワークショップも定期的に開催されています。

参加者は「いのちの森」の見学を通じて自然の循環を学び、その後、自らの手で土に触れながら、都市の自然との関わり方を体験していきます。 
一本の木の足元から始まった小さな実践は、派手な変化こそありませんが、確実にその範囲を広げています。 
都市の自然を育てることは、一度に大きく変えることではありません。 

目の前の一本の木に向き合い、少しずつ人々が協力し合って手を入れ、その変化を見守り続ける。その積み重ねが、公園という身近な公共の場所、そしてコミュニティの未来を育てていくのです。 
――都市の公園を、市民とともに育てる。(後編へ続く) 

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