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地域循環共生圏の事業に過去取り組んだ団体からプラットフォーム活動の知恵を学ぶ

地域循環共生圏の事業に過去取り組んだ団体からプラットフォーム活動の知恵を学ぶ

2022年12月、環境省の「環境で地域を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム構築事業」の卒業団体(過去事業採択され活動した団体)のフォローアップ調査の一環として、奈良市(産業政策課・環境政策課)と一般社団法人TOMOSUの皆さんに、お話をうかがいました。

奈良市は令和元年度採択された団体であり、TOMOSUは事務局を担われました。事業終了後2年を経て、地域での協働・共創に向けて、地方環境事務所・EPOがお手伝いできることなど等について情報交換しました。

奈良市(人口約35万人)は、多様な人が、互いの取組等を認知できる規模感という大きすぎない市場があります。何か新しい取組を実施したいと思ったとき、具体的に連携できる相手をイメージしやすいのは、こうした地方都市ならではの強みであるそうです。多様な主体とのつながりを確保・継続するため、TOBOSUが運営する奈良市の創業施設BONCHIでは、普段の業務が忙しい中でも、異なる業界の方との接点・つながりを作る活動を進められています。

創業支援施設「BONCHI」には、1階のカフェ、ショップ、本屋、イベントスペース、2階のコワーキングスペース、3・4階の会議室があり、訪れた人がリラックスして、新たな発想を得て仕事を進めたり、ひととの出会い・交流が後押しされるような場所として整備されています。この施設で実施する事業では、異なる領域の主体が物の見方や価値観の違いを越えてつながり、ある領域での課題が、別の領域での資源になっているような状況が見えてくるような交流を目指しています。創業を目指す人、参加する多様な方々が地域の課題や地域資源を包括的に捉えることができるよう意識して、施設の整備やイベント企画を工夫されています。施設について詳しくは、こちらをご覧ください。)

令和元年度に奈良市が採択された地域循環共生圏プラットフォーム事業では、奈良市の様々なステークホルダーが集まり、奈良市の課題・地域資源について共有しながら、資源や課題の連関について対話する場が7回実施されました。チームビルディングの一環としてステークホルダー同士が互いに知り合い、奈良市についての課題・魅力を学びながら、奈良市での地域循環共生圏の構想図(通称マンダラ)等のアウトプットを作られています。この採択事業が環境・経済・社会を統合的に考えるベースを築くきっかけになったとのことで、同事業を通じてつながった人脈との連携は現在も継続されています。

採択事業でのプラットフォーム構築の経験を通して、ステークホルダーにプラットフォームに参加するメリットや期待感を持たせて、主体的に関われる座組・仕組づくりが重要であることを感じられたそうです。他方で、地域の多様な主体間のチームビルディングにつなげるためには、利益創出を主題にし過ぎてビジネスライクにならないような配慮も大切だということが学びとして得られたとおっしゃっていました。

奈良市では、2022(令和4)年3月に「第3次奈良市環境基本計画」を策定され、その具体化に向けたワークショップ等を実施されています。これから、より幅広く、人と人を結び付けて、環境分野での創業につなげていく取組を推進されていくそうです。TOMOSUは市からの委託を受けて、環境基本計画の策定に携われており、今後の取組でも地域循環共生圏事業の推進経験を活かして、活躍されることが期待されています。

近畿各地の地域循環共生圏づくりの取組や卒業団体の取組状況等については、引き続きフォローアップ調査の機会等を活用して情報交換させていただき、今後のサポートや地域間のノウハウの相互参照につなげていければと考えています。

以上、今回の地域循環共生圏に関わるお役立ち情報でした。

(田中 コミュニケーションプロデューサー・科学コミュニケーター)

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写真1 創業支援施設「BONCHI」の会議室でのヒアリングと情報交換

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写真2 施設には、1階のカフェ、ショップ、本屋、イベントスペース、2階のコワーキングスペース、3・4階の会議室があり、訪れた人がリラックスして、新たな発想を得て仕事を進めたり、ひととの出会い・交流が後押しされる設備が整えられています。写真は1階フロアです。

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