多様な意見交換の場づくり

【開催報告】政策コミュニケ―ション 地域課題の政策化をテーマとした 「行政・議員・市民との対話の場」プラスチックの資源循環編

更新日:2023年11月24日

2023年11月2日(木)、ドーンセンターにて、「政策コミュニケ―ション 地域課題の政策化をテーマとした “行政・議員・市民との対話の場”プラスチックの資源循環編」を開催しました。当日は、行政、議員、市民(企業、NPO、組合職員、教員、大学生など)様々な立場から政策やプラスチックの資源循環に関心を持つ、31名の参加がありました。

<開催概要>

○ 日時:2023年11月2日(木)18:15~21:00
○ 会場:ドーンセンター 4階 大会議室1(大阪府立男女共同参画・青少年センター)
〇 対象:行政・市民・議員・企業等、プラスチックの資源循環に関する政策コミュニケーションをしてみたい方
〇 参加費:無料
○ 主催:きんき環境館(環境省近畿環境パートナーシップオフィス)、 社会福祉法人 大阪ボランティア協会
○ 共催:あどぼ・してぃずんプロジェクト(あどぼの学校)

開催案内ページはこちら:https://www.kankyokan.jp/kinkikankyo-event-2023-1102/

社会や地域をよりよくするため、政策をつくる様々な過程で、行政や市民、 議員、企業が対話を行うことを「政策コミュニケーション」と言います。今回は身近な「プラスチックの資源循環」を題材として、日々の暮らしの中での疑問や困りごとを出しあいながら、地域課題を政策へとつなげていく対話を体験しました。

①講演

基調講演「地域課題を政策にする意義と政策コミュニケーション」
原田 禎夫さん(同志社大学経済学部経済学研究科 公共経済学(環境政策・地域政策))

プラスチックを中心とする様々なデータを提示しながら、課題解決を市民の意識変革だけではなく政策として社会の仕組みにしていくことが、いかに重要であるかの説明がありました。その上で、諸外国の事例と共に、保津川下りの数名の船頭から始まった活動が、レジ袋禁止条例という政策にまでつながった京都府亀岡市の事例が挙げられ、地域の政策を市民参加型で作ることによるメリットやインパクトについて示されました。最後に、政府による規制の実現には多くの時間と費用を要し、新たな社会課題に対しては、様々な行動、社会活動、立法的および協調的なアプローチを組み合わせることが必要であると述べられました。

②トークセッション

トークセッション「プラスチックの資源循環におけるポイントと課題」
原田 禎夫さん(同志社大学経済学部経済学研究科 公共経済学(環境政策・地域政策))
藤本 和富さん(一般社団法人 エコビジネス推進協会 専務理事)
平井 研さん (一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会 環境教育部ディレクター)

原田禎夫さんに進行いただき、企業の視点や技術的側面から藤本和富さんに、活動や教育的側面から平井研さんにプラスチックの資源循環におけるポイントと課題についてお話いただきました。

藤本さんからは、プラスチックの190年の歴史と特性の良い点と悪い点、日本で使われているプラスチックの種類と量などが示されました。また、資源循環を考える際の課題についても語られました。

平井さんからは、実際に漂着ごみで困っている和歌山県の友ヶ島における活動を挙げながら、プラスチックごみの回収の際の課題や、ごみ回収をした参加者の様子が、たくさんの写真と共に語られました。

トークセッションでは、プラスチックの開発の経緯や製品の特性、利用方法を知りながら、多様な立場の人が意見を出し合うことで、課題の本質や新たなアイデアが生まれることが示唆されました。

③ワークショップ

5つのグループにわかれて、ディスカッションを行いました。各グループには議員、プラスチックの資源循環に関心を持ち活動等をされている話題提供者に入ってもらい、その他は行政、議員、市民(企業、NPO、組合職員、教員、大学生など) 等をバランスよく分け、ファシリテーターが進行を行いました。

グループ①
分別の際に課題となるプラスチック複合素材について、みえる化して分別行動にポイントを付ける、あるいは複合素材を商品に使うことを規制するなど、社会の行動変容を促す政策が必要だが、その前に企業や市民の意識改革のために、自治体によるごみ処理コストの開示や、学校への出前授業、釣り人への啓発、若者の古着文化にちなみ、レジ袋をおしゃれな紙袋に変えるなどの身近な工夫が大切であるとの意見が出された。

グループ②
国、自治体、企業、市民などのセクターごとのごみ減量について、リサイクル税導入や条例などのルールづくりの他、マイボトルや量り売りなど生活習慣の切り替えや、個包装の禁止やリユース食器利用など企業の取組みが必要であるとの意見が出た。一方で天神祭のプラごみが30%との話題から、マイ容器を洗う場所がないなど、イベント時のプラごみ減量に向けた課題も出された。

グループ③
企業努力を市民が知る、議員を市民が活用する、行政が市民活動を尊重しつつ多様なセクターのテーブルを用意するなど、産官学民の対話が重要であるとの意見が多く出された。また、ごみの見える化や経済を回す仕組みを、ヨーロッパや江戸の先進事例に学び、捨てたものに価値を与える発想を持つことが大切だという意見が出された。

グループ④
食品の個包装を減らすには、生産側(川上)の構造、消費側(川下)の現場の両方を知り、プラ包装削減に取り組む企業を評価し、取り組まない企業には意見を送るなど、市民の行動により社会を変えていくなどの意見が出された。また、企業間の連携を促したり、アイデアを公募したりなど、行政から企業に働きかけることも重要であるとの意見が出された。

グループ⑤
卵ケースやおせちなど、日常から特別な日まで食品容器包装の中のプラスチックを削減する取り組みとその難しさを軸に議論がなされた。そもそも包装を紙などに置き換えることで持続可能な社会になるのか、コストの面などで見合わないものはプラスチック税を入れる等の仕組みが必要でないかとの意見が出された。また、課題に関心を持った人、若い人がつながったり話したりできるコミュニティや財団があると、もっと政策等の仕組みづくりを行えるという意見も出された。

各グループの発表と共に議員からそれぞれの講評をもらい、多様な人たちと話し合う場の意義や議員自身もコーディネーターとして活用してほしいと言った意見も述べられました。また、最後に原田さんから紹介された、先進的な技術を取り入れた海外における具体的事例は、日本の技術やアイデアが採用されているものでした。それらが日本で活用されるよう、社会課題の解決に向けた政策を実現するためにも、皆さんで行動していってほしいと締めくくられました。

環境教育等促進法

正式名称は「環境教育等による環境保全の取り組みの促進に関する法律」(平成23年6月改正)。環境行政への民間団体の参加と、多様な主体による協働を推進するための規定が多く盛り込まれている。

協働取組

国民、民間団体等、国又は地方公共団体がそれぞれ適切に役割分担しつつ、対等の立場において相互に協力して行う環境保全活動、環境保全の意欲の増進、環境教育その他の環境の保全に関する取組。

ESD

持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)。一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境と関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育。

地域循環共生圏

各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。

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