ESDの推進

環境拠点施設REPORT① 生物多様性から環境を考える ~神戸市立王子動物園

更新日:2013年09月05日

環境拠点施設REPORT①

○生物多様性から環境を考える ~神戸市立王子動物園

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「動物園」と聞くと、「レクリエーション施設」というイメージを持つ方がまだまだ多いと思います。実際、行政のなかでも教育というよりは、公園や観光の位置づけになっている園館が多いようです。
きんき環境館は、動物園が社会学習の場、環境教育の場として優れた機能であると感じています。

今回は、神戸市立王子動物園副園長の嶋谷さん、飼育展示係長/獣医師の花木さんのお二人にいろいろとお話を伺いました。このブログでは、王子動物園の概要と環境学習拠点の観点から環境館スタッフが感じたことを書いています。

神戸市立王子動物園は神戸っ子にとっては身近な存在です。約140種850点 の動物を飼育しており、神戸市民だけでなく近畿一円からの入園者も多く、動物園の入場者数としては全国第4位(124万人/H23年度)という人気の動物園です。

王子動物園が加盟している日本動物園・水族館協会の4つの目的として、
1.種の保存 2.教育・環境教育 3.調査・研究 4.レクリエーション
とあります。

野生生物の種の保存等、希少動物保全のための研究機関としての一面、そして動物の生態を学べる教育機関としての一面の両方を併せて持った施設であり、特に後者は人と自然の共生を考えるうえで環境教育の入り口としてあらゆる世代にとって身近な存在であると言えるのではないでしょうか。

王子動物園の動物科学資料館は他の園にはない充実した施設で、展示室、図書室、ビデオコーナーなどで自らが調べたり、資料館のスタッフに話を聞いたりすることができます。環境学習施設では「情報を集め、伝える」という役割が必要とされていますが、まさに動物園は、目の前にいる生きた野生動物の息づかいや動作を感じることと、その動物の習性などをサイン看板や資料館などで知ることの両方を通して、生きた情報として何倍もの学びが得られると言えます。

王子動物園では、「動物サポーター制度」があります。動物園を支援する企業・団体や個人から寄付をいただき、動物たちのえさ代や動物舎の整備などの運営費用に充てています。
皆が一緒になって希少な動物を守り、動物園を学びの場として活用することで動物園の活性化を進めていくということも、これから大切な視点になってくると思います。

最後に、飼育展示係長/獣医師の花木さんが、「動物の多様性は、環境の多様性です。動物は環境に合わせて進化・適応しているんですよ。」とお話してくださったことが、とても心に残りました。

私たちの暮らしの影響によって、または自然の摂理として自然環境は様々に変化をしています。動物園を学びの入口として、私たち人間も自然の恵みのなかで生きている存在であることを認識し、日々の暮らしを見直す機会にできればと思います。

大人でも生物多様性の学びの場として活用できる動物園。童心に帰って楽しむことで、五感を通して学びを得られる場であることを改めて感じました。

ESDコミュニケーションプロデューサー 成山博子

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【DATA】
神戸市立王子動物園
URL:http://www.city.kobe.lg.jp/culture/leisure/ojizoo/
住所:〒657-0838兵庫県神戸市灘区王子町3-1
TEL:078-861-5624
料金:大人(高校生以上)600円、中学生以下無料
開園時間:3月~10月 午前9時~午後5時
11月~ 2月 午前9時~午後4時30分
※ただし、入園時間は閉園の30分前まで
休み:水曜(祝日の場合は開園)
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環境教育等促進法

正式名称は「環境教育等による環境保全の取り組みの促進に関する法律」(平成23年6月改正)。環境行政への民間団体の参加と、多様な主体による協働を推進するための規定が多く盛り込まれている。

協働取組

国民、民間団体等、国又は地方公共団体がそれぞれ適切に役割分担しつつ、対等の立場において相互に協力して行う環境保全活動、環境保全の意欲の増進、環境教育その他の環境の保全に関する取組。

ESD

持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)。一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境と関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育。

地域循環共生圏

各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。

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