地域循環共生圏づくりの推進

環境保全施策へのふるさと納税の活用 ~地域コミュニティの環境保全活動を支える

更新日:2019年12月27日

きんき環境館事業「地域における協働取組モデルの創出及びプラットフォーム運営等支援」の一環として、兵庫県川西市で市内の多様な主体による環境保全の取組や、ふるさと納税による地域協働へのサポートの現状について把握するヒアリングを実施しました。
川西市は、関西のベッドタウンとして住宅地が広がる一方で、イチジク・くり・野菜の生産の農地や里山など自然環境が豊かな地域です。14ある地域コミュニティでは、「第5次川西市総合計画 地域別構想」に基づいて、身近な緑の管理や水辺の観察会の実施なども含む活動が地域の個性に応じておこなわれています。また、農業の分野では、川西市農業振興研究会によって果樹の剪定枝を有効活用する取組が実施されたり、市内高校で身近な里山に生息するチョウ(ミドリシジミ)を対象に興味深い研究が進んだりしています。ヒアリングを通じて、環境団体だけではなく、市域の多様なセクターで環境保全的取組が行われている一端を見ることができました。

同市で実施されているふるさと納税制度では、2019年6月から、新たに「ふるさと支援金」という仕組みを導入しています。これによって、市外在住の人がふるさと納税をおこなう際に、市内にある先述の14のコミュニティ組織を指定し、地域コミュニティでの活動を応援できるようになっています。

この制度による資金調達の流れを持続させる上では、市内各地の地域資源の魅力や取組成果等の発信と寄付者との情報交流が、鍵になるだろうと思われます。その推進のためには、地域コミュニティの活動支援をおこなっている自治体担当者が他の自治体での発信や交流の事例を共有する機会、あるいは、市域内部で地域コミュニティ間での取組を相互参照し情報発信のコツを学び合ったり、寄付者への取組成果のフィードバックやさらなる応援を要請するための情報交流について、寄付制度担当者やコアな関係者によって意見交換する機会が、有用に働くと考えられます。

きんき環境館からは、そのような場づくりの企画を提案させていただくことができます。そのような場の満足度を参加者からうかがいつつ、川西市の地域資源の魅了を高め、活かしながら、資金的持続性を高めるためのプラットフォームづくりについて検証していきます。

(田中 コミュニケーションプロデューサー・科学コミュニケーター)

川西市で6月に導入された「ふるさと寄付金」の制度のパンフレットの表紙

環境教育等促進法

正式名称は「環境教育等による環境保全の取り組みの促進に関する法律」(平成23年6月改正)。環境行政への民間団体の参加と、多様な主体による協働を推進するための規定が多く盛り込まれている。

協働取組

国民、民間団体等、国又は地方公共団体がそれぞれ適切に役割分担しつつ、対等の立場において相互に協力して行う環境保全活動、環境保全の意欲の増進、環境教育その他の環境の保全に関する取組。

ESD

持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)。一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境と関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育。

地域循環共生圏

各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。

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