地域循環共生圏づくりの推進

まち・農村・川・森をつなぐ環境教育 -大阪・茨木市での協働取組

更新日:2015年12月25日

大阪の採択団体ビオアの協働取組事業の目的は、地域の多様な主体の協働によって、市域の環境教育を継続して推進する仕組みを整備、環境教育の実施体制を強化することです。

ビオアを事務局として、事業開始当初から、多様な主体間が連携して、環境教育プログラムの開発・実践を進めてきました。市内の関心の高い教員や環境教育提供者が、身近な素材による良い事例を共有し、そこから環境教育を実施するためのエッセンスを学び、自らの実践に活かしていく考え方です。モデル的プログラムの共有から、環境教育を広げていくため、その事例の“モデルとして良さ”を教員、市民、地域社会が納得・共感しているほど、その広がりは加速すると思われます。簡単な方法でよいので、関心のある市民(こどもたち、教員を含む)からの意見・フィードバックを折に触れて聞き、反映させていく仕組みが必要です。実施校のひとつである安威小学校の子供たちは11月の学習報告会にて成果発表し、それに対して環境政策課が丁寧にコメントされていました。たとえば、このような場に出席した(オブザーバー的な)教員の方から率直な感想をうかがうことも一つの方法だと思われました。

他方、事業初期から精力的にヒアリングを重ね、環境教育に関わる学校、行政、民間団体、中間支援拠点などから、さまざまなご意見をうかがいました。「市内の環境教育の全体像を市がすべて把握しているわけではない」「先生は、環境教育への時間の配分や安全配慮について不安がある」「活動団体として自分たちのできる範囲で取り組みたい」「だが、学校で求められるスキルに応えなくてはならないのではと懸念している」 ・・・
これらの多くは情報交流を促すことで解消できそうです。まずは、教員のニーズに応じて環境教育の内容・提供者について相談・意見交換できる場が必要だという結論に至りました。そのような“相談・意見交換”を継続することで、各地域の特色に基づいたオリジナルの環境教育カリキュラム開発が各学校で促され、それら全体の情報が先の場やその運営事務局に集約されていくと考えられます。プラットホームづくりに向けたこのようなアイデアが、第2回連絡会において、ビオアから説明され、共有されました。今後は、どのような役割分担でその場を作ることができるのかなど、協働事業関係者による検討を進めているところです。

ところで、前者の「環境教育のモデル的プログラムの作成」と後者の「茨木市の環境教育について交流する場づくり」は、最初の目的を達成する上では双方、必要です。では、どのように力を配分するとよいでしょうか。全体の“資源”が10として、前者に9、後者に1。あるいは、その反対の1と9も考えられます。支援事務局としては、同じくらいの配分で、後者が多めがよいと仮に考えています。前者を提供する企業、自治体、団体はいくつか存在しているが、後者のような場はないためです。ピッチャーが数名で、キャッチャーがゼロのチームでは、キャッチャーの育成が優先されることと、似ているかもしれません。

年が明ければ、事業と併行して、2月6日の全国報告会に向けた成果とりまとめがはじまります。2015年後半、ビオアを中心に、大阪府安威川ダム建設事務所、茨木市観光協会、茨木市、茨木市教育委員会、教育センターなどが取り組んだ協働のチャレンジを、うまく伝えられるようにと考えています。

(田中・きんき環境館)

上の写真は、11月14日に開催された発表会「第7回 子ども学習 未来へ発信!」の様子。

下の写真は、茨木市市民活動センター会議室にて11月25日に開催された第2回連絡会です。ビオア、大阪府安威川ダム建設事務所、茨木市環境政策課、学生団体、きんき環境館、地球環境パートナーシッププラザ、近畿地方環境事務所が出席しました。オブザーバーとして、センター長が参加くださいました。

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環境教育等促進法

正式名称は「環境教育等による環境保全の取り組みの促進に関する法律」(平成23年6月改正)。環境行政への民間団体の参加と、多様な主体による協働を推進するための規定が多く盛り込まれている。

協働取組

国民、民間団体等、国又は地方公共団体がそれぞれ適切に役割分担しつつ、対等の立場において相互に協力して行う環境保全活動、環境保全の意欲の増進、環境教育その他の環境の保全に関する取組。

ESD

持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)。一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境と関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育。

地域循環共生圏

各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。

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