地域循環共生圏づくりの推進

地域循環共生圏構築に向けた「インキュベーター的機能」

更新日:2022年03月30日

3月8日に環境省「環境で地方を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業」の成果報告会がオンラインで開催されました。近畿地方では今年度採択された4団体と事業化の支援がおこなわれた2団体、計6団体が取組を報告されました。

本事業は令和4年度も継続予定で、1月~2月にかけて活動団体が公募され、全国から応募がありました。この4月には新しく地域循環共生圏づくりにチャレンジする団体と令和3年度に続いて活動する団体が発表される予定です。

きんき環境館では、令和2~4年度の3年間、地域循環共生圏構築のインキュベーター(地域主体での資源発掘・チームづくり・事業化等の支援者)として機能することを大きな目標としています。ここでは、過去2年間を振り返り、機能した部分について整理し、残り1年間でどの箇所に焦点を充てる必要があるのか考察したいと思います。

令和2年度は、①地域循環共生圏講演会、②地域循環共生圏事業提案に向けた勉強会、③地域循環共生圏カフェ(枚方市・長浜市)、④地域循環共生圏ミーティング、⑤相談対応を実施しました。それぞれの業務を通じて、地域資源の発掘や企画作成を支援したり、地域における気運を高める活動を応援して、各地の地域循環共生圏づくりを支援しました。講演会は「地域循環共生圏」に内容を絞ったため、参加者には「地域循環共生圏とは何か理解していただく」目的がわかりやすかったと思われます。他方、リアルタイムでの実施であったため、参加機会が制限されたという弱点もありました。自治体向けの勉強会やミーティングでのワークシートを用いた計画づくり支援(アイデアの言語化)は、参加者の意欲も高く、漠然としていた構想を言葉で明確に描写する上で効果的だと感じられました。

令和3年度は、①連続セミナー(地域循環共生圏(ローカルSDGs)創造に向けた協働/共創)、②自治体向けの脱炭素施策説明会、③森里川海形成会合(笠置町・和歌山市)、④相談対応を実施しました。連続セミナーでは、地域循環共生圏構築に必須の「協働/共創」について、幅広く最新事例を共有し、啓発的効果が見られました。また、録画動画を活用したアーカイブ配信では、柔軟に参加できる効用が感じられました。他方、SDGs/地方創生などを主題とする多くの話題の中に、「地域循環共生圏」がやや埋もれてしまったところが反省点です。年度途中から脱炭素推進もテーマとして絡んできました。

ここまでの2年間での成果を参考にして、令和4年度はインキュベーション機能をより発揮できる組み合わせで構成したいと考えています。①参加者同士が相互参照・分野横断する勉強会(自治体・民間団体を対象、フォローアップをおこなう)、②SDGs系ネットワークに対するアーカイブ配信での地域循環共生圏情報の周知、③地域循環共生圏づくりに関心のある地域での森里川海の場づくりによる成果共有・発信等による意識醸成、④年間を通じた地域循環共生圏に関する個別相談対応、といった組み合わせが効果的かつ効率的ではないかと、今のところ仮説を持っています。今後、地方環境事務所・アドバイザリー委員の方々との協議をおこないながら、よりよい事業を検討していきたいと思います。

令和4年度は、地域での脱炭素の取組が一層加速する中で、そこに資する地域循環共生圏の事例共有などが重要ではないかと考えており、最新の動向について情報収集をしているところです。

以上、今回の地域循環共生圏お役立ち情報でした。

(田中 コミュニケーションプロデューサー・科学コミュニケーター)

 各年度の地域循環共生圏構築に関わる事業について、きんき環境館の関わりの強さ、インキュベーター的機能の観点で整理した。まだ十分知られていない地域循環共生圏の考え方をSDGsへ関心のある方々に「事業周知」するレベルから、「相談対応」「伴走支援」のレベルまで関わり方は多様である。関心が高く意欲のある推進者を手厚くサポートすることが効果的だと思われるが、そのための労力とのバランスを見極める必要があるこの図では、「資源発掘・課題発見」から「分野横断」に至る様々な活動を通じて、地域循環共生圏づくりへの意識が地域社会で醸成されると考え、さまざまな活動への支援全体を”インキュベーター的機能”としている。

環境教育等促進法

正式名称は「環境教育等による環境保全の取り組みの促進に関する法律」(平成23年6月改正)。環境行政への民間団体の参加と、多様な主体による協働を推進するための規定が多く盛り込まれている。

協働取組

国民、民間団体等、国又は地方公共団体がそれぞれ適切に役割分担しつつ、対等の立場において相互に協力して行う環境保全活動、環境保全の意欲の増進、環境教育その他の環境の保全に関する取組。

ESD

持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)。一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境と関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育。

地域循環共生圏

各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。

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