多様な意見交換の場づくり

経験が浅い担当者間の対話の場を効果的に進めるポイント

更新日:2022年11月24日

 きんき環境館では、平成23年6月に環境教育等促進法改正をひとつのきっかけとして、府県政令市の環境教育担当者と連携し、地域の環境教育施策の効果的な推進に向けて意見交換、情報交流を行っています。
 例年、6月頃に府県政令市の環境教育担当者および、府県政令市教育委員会の環境教育・ESD担当者を訪問して、国の動向や地域の環境教育・ESD推進状況等の情報交流を行っています。また、そこで効果的な業務推進に向けて他自治体と情報交流をしたいテーマをお伺いし、11月頃にそのテーマを盛り込んで情報交換会を開催しています。

 今年度は人事異動のタイミングとも重なったようで、半数以上の方が環境教育施策を担当して1年目、もしくは入庁して間もないという、環境教育施策の経験の浅い方が多くなりました。
 そこで、近畿地方環境事務所の担当官とも協議・検討を行って場づくりを実施したところ、経験の浅い担当者間の意見交換を効果的に進めるうえで、下記の2つの点がポイントであることが確認できました。

 1つは、意見交換のテーマを具体的に設定することです。
 経験が浅い方が多い対話の場だと、自身の体験としてない場合や、取組の成果や課題を自分の言葉で紹介することが難しい場合が多く、実体験を基にしつつ今後の展望に向けた意見交換を行うことが難しいです。
 そのため、ご自身が担当している具体的な事業に沿って、日常の業務のなかで普段感じている困りごとや不安等をベースにした意見交換の場にすることで、新しい知見や気づきが得られる、そして自身のその課題に取り組むことになった場合に解決方法の手がかりとなることを狙うことができます。

 もう1つは、参加者は意見交換に徹してもらうことです。
 このような場づくりでは自主性を促して自由な発想で意見交換していただくために、進行役や記録役などをすべて参加者に担当していただくことがあります。
 しかし、今回の場合は、進行や記録に気を取られては十分な意見交換ができず場の効果が低くなると判断し、進行(ファシリーテーター)と記録は事務局サイドで担当することで、参加者は自身が重要だと思ったことのメモを取ったり、発言や質問を自身のタイミングでできるなどして、学びの機会として場を活用することができます。

 終了後、実施したアンケートでは大変満足したという回答が多く得られました。理由としては、「他自治体の取り組みや課題について情報交換できた」、「進行役がいることで参加者がフラットに意見交換できた」、「多くの意見が聞くことができて参考になった」などのご意見をいただくことができました。参加者の特性に応じた効果の高い場づくりに向けて、いただいたご意見等を次年度の設計に活かしていきたいと考えています。
(蒔田 コミュニケーションディレクター・ジオパーク専門員)

意見交換の様子です。ファシリテーターが参加者の意見を引き出し、限られた時間で有用な場となるように工夫しています。

環境教育等促進法

正式名称は「環境教育等による環境保全の取り組みの促進に関する法律」(平成23年6月改正)。環境行政への民間団体の参加と、多様な主体による協働を推進するための規定が多く盛り込まれている。

協働取組

国民、民間団体等、国又は地方公共団体がそれぞれ適切に役割分担しつつ、対等の立場において相互に協力して行う環境保全活動、環境保全の意欲の増進、環境教育その他の環境の保全に関する取組。

ESD

持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)。一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境と関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育。

地域循環共生圏

各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。

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